もの忘れ・ご家族の相談

認知症・もの忘れ

「最近、同じことを何度も聞くようになった」「約束を忘れることが増えた」——。もの忘れは年齢とともに誰にでも起こりますが、なかには認知症の始まりや、治療できる病気が隠れていることもあります。早めに相談することで、原因を確かめ、これからの暮らしの備えを一緒に考えることができます。

こんなサインはありませんか

  • 同じことを何度も話したり、聞いたりする
  • 置き忘れやしまい忘れが増え、探し物ばかりしている
  • 約束や予定を、約束したこと自体忘れてしまう
  • 料理や買い物など、慣れていたことの段取りができなくなった
  • 日付や曜日、慣れた道がわからなくなることがある
  • 以前より怒りっぽくなった、趣味や外出への関心が減った

当てはまる数で診断が決まるわけではありません。つらさが続いて、暮らしや仕事に差しさわりが出ているときは、早めにご相談ください。

年齢によるもの忘れと、認知症の違い

年齢を重ねると、人の名前がすぐに出てこない、うっかり忘れるといった「もの忘れ」は誰にでも起こります。一方、認知症は、脳の病気などによって記憶や判断などの働き(認知機能)が低下し、日常生活に支障が出ている状態をいいます。

年齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ
忘れ方体験したことの一部を忘れる(何を食べたか思い出せない)体験したこと自体を忘れる(食べたこと自体を覚えていない)
自覚忘れっぽいことを自覚している忘れていることに気づきにくいことがある
生活への影響日常生活に大きな支障はない家事・お金の管理・外出などに支障が出る
進み方ほとんど進まない少しずつ進むことが多い

これはあくまで目安で、実際には区別が難しいこともあります。気になるときは、早めに相談することをおすすめします。

軽度認知障害(MCI)とは

軽度認知障害(MCI)は、もの忘れなどの認知機能の低下がみられるものの、日常生活はおおむね自立してできている、正常と認知症の中間の状態です。MCIの方の一部は認知症に進みますが、そのまま保たれる方や、正常な状態に戻る方もいることがわかっています。

この段階で気づき、生活習慣病の管理、運動、人との交流など、生活を見直すことが、これからの備えにつながります。

認知症の主な種類

  • アルツハイマー型認知症:認知症の中で最も多いタイプです。新しいことを覚えられなくなる記憶障害から始まり、ゆっくり進むことが多いです。
  • 血管性認知症:脳梗塞や脳出血などが原因で起こります。症状がまだらに現れたり、段階的に進んだりすることがあります。
  • レビー小体型認知症:実際にはないものが見える幻視、手足のふるえや動きにくさ、日によって調子の波が大きいことなどが特徴です。
  • 前頭側頭型認知症:比較的若い年齢で始まることがあり、性格の変化や、社会のルールに合わない行動などが目立つことがあります。

65歳未満で発症するものは「若年性認知症」と呼ばれ、仕事や家計への影響が大きいため、早めの相談と支援の利用が大切です。

治療できる「もの忘れ」もあります

認知症のような症状があっても、別の病気が原因で、その治療によって症状が改善することがあります。そのため、まず原因を確かめることが大切です。

  • 甲状腺の病気(甲状腺機能低下症など)
  • ビタミン不足(ビタミンB12などの欠乏)
  • 正常圧水頭症:歩きにくさ・尿もれ・もの忘れなどがみられます。
  • 慢性硬膜下血腫:頭を打ったあと、しばらくしてから症状が出ることがあります。
  • うつ病:意欲や集中力が落ちて、もの忘れのように見えることがあります。
  • 薬の影響:睡眠薬や抗不安薬など、服用中の薬が影響することもあります。

診察と検査について

診察では、ご本人とご家族から、いつ頃からどのような変化があったか、日常生活で困っていることなどを伺います。記憶や注意などを確かめる簡単な検査(認知機能検査)を行うこともあります。

原因を確かめるために、血液検査や、頭部のMRI・CTなどの画像検査が必要になることがあります。当院で行えない検査については、連携する医療機関をご紹介します。受診のときは、お薬手帳と、ふだんの様子をよく知るご家族の同伴をおすすめします。

治療とこれからの暮らし

薬物療法

アルツハイマー型認知症などでは、症状の進行をゆるやかにすることが期待される薬(コリンエステラーゼ阻害薬・NMDA受容体拮抗薬)を使うことがあります。また、早期のアルツハイマー病に対する新しい薬(抗アミロイドβ抗体薬)は、検査や投与の体制が整った医療機関で行われるため、対象となる可能性がある場合はご紹介します。

不眠・不安・気分の落ち込み・イライラ・幻視など、認知症に伴う心の症状(BPSD)がある場合は、その原因を探り、環境の調整を中心に、必要に応じて薬物療法も検討します。

暮らしの支援と制度

  • 介護保険:デイサービスやホームヘルパーなどのサービスを利用するには、市区町村での要介護認定の申請が必要です。申請には主治医の意見書が必要になります。
  • 地域包括支援センター:高齢者の暮らしや介護についての、身近な相談窓口です。お住まいの地域ごとに設けられています。
  • お金や手続きの備え:判断力が保たれているうちに、財産の管理や今後の希望について家族で話し合っておくことも大切です。

暮らしの中でできること

認知症を確実に防ぐ方法はまだわかっていませんが、生活習慣を整えることが、認知機能を保つことや、認知症になる危険を下げることにつながると考えられています。

  • 生活習慣病の管理:高血圧・糖尿病・脂質異常症などは、脳の血管にも影響します。かかりつけ医での治療を続けましょう。
  • 体を動かす:散歩などの適度な運動を、無理のない範囲で習慣にしましょう。
  • 人と関わる:会話や趣味の集まり、地域の活動などで、人とのつながりを保つことが刺激になります。
  • 耳の聞こえを確かめる:聞こえにくさをそのままにしておくと、会話が減り、認知機能に影響することがあるといわれています。
  • お酒とたばこ:飲みすぎや喫煙は控えましょう。
  • よく眠る:睡眠のリズムを整えることも大切です。

すでに認知症と診断された方でも、できることを続け、役割を持って暮らすことが、気持ちの安定や生活の張り合いにつながります。

ご家族・周りの方へ

  • 否定しすぎない:間違いを強く訂正したり責めたりすると、本人は不安や混乱が強くなります。話を受け止めたうえで、さりげなく手助けすることが落ち着きにつながります。
  • 受診のすすめ方:本人が受診をいやがるときは、「健康診断のつもりで」「最近眠れていないようだから」など、本人が受け入れやすい理由で誘うとよいことがあります。
  • 介護する人も休む:介護は長く続くことが多いため、ひとりで抱え込まず、介護保険のサービスや地域の相談窓口を早めに利用しましょう。

当院では、ご家族だけでのご相談も承ります。介護による疲れや、気分の落ち込み・不眠など、ご家族自身のこころの不調についてもご相談ください。

よくあるご質問

はい、ご家族だけでのご相談も承ります。ご本人の様子を伺い、受診のすすめ方や、家での接し方、利用できる相談先などについてお話しします。

早すぎることはありません。治療できる原因が見つかることもあり、軽度認知障害(MCI)の段階で気づけば、生活の見直しや今後の備えを考える時間が持てます。

アルツハイマー型認知症などは、現在の医療で完全に治す方法はまだありませんが、進行をゆるやかにすることが期待される薬や、暮らしを支える工夫があります。また、甲状腺の病気やビタミン不足など、治療によって改善が期待できる原因が見つかることもあります。

当院には画像検査の設備がないため、必要な場合は、検査ができる連携の医療機関をご紹介します。

健康保険証(マイナ保険証)、お薬手帳、これまでの検査結果(あれば)をお持ちください。ふだんの様子をよく知るご家族の同伴をおすすめします。気になる変化をメモにしておくと、診察がスムーズです。

お住まいの市区町村の窓口や、地域包括支援センターで要介護認定の申請ができます。申請には主治医の意見書が必要になりますので、診察のときにご相談ください。

あかつきメンタルクリニックでの診療

当院は、名古屋市中区丸の内(地下鉄「丸の内」駅から徒歩4分、「伏見」駅から徒歩7分)にある精神科・心療内科のクリニックです。診療時間は平日 10:00〜18:00、土日祝 9:00〜17:00(どちらもお昼休みあり)です。診療日は Web予約の空き状況でご確認ください。

  • 初めての方は、Web予約・公式LINE・お電話(050-3529-9731)でご予約ください。
  • 初診では、いまお困りのこと、これまでの経過、生活や体の状態などを伺い、今後の進め方を一緒に考えます。
  • 16〜18歳の方は保護者の方の同伴をお願いしています。15歳以下の方の診療は行っていません。
  • 入院や専門的な治療が望ましいと考えられる場合は、適した医療機関をご紹介します。

受診の前に、受診にあたって(持ち物・当院で診療をお受けできない場合)をご確認ください。

Web予約 公式LINEのご案内 お電話 050-3529-9731

参考にした資料

  • 日本神経学会 監修「認知症疾患診療ガイドライン2017」
  • 「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」・認知症施策推進基本計画
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「認知症」
  • 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」認知症

このページは、こころの病気についての一般的な情報です。診断や治療の方針は、診察でお話を伺ったうえで一人ひとりに合わせて決めます。気になる症状があるときは、自己判断せずにご相談ください。

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