「何か悪いことが起こるのでは」と、仕事や家族、健康、お金のことなどが次々に心配になり、頭から離れない——。心配するのは自然なことですが、その心配が自分でもコントロールできないほど強く、落ち着かなさや体のこわばり、眠れない状態が何か月も続いているなら、全般不安症という病気かもしれません。
こんなサインはありませんか
- 仕事・家族・健康・お金など、いろいろなことが心配で頭から離れない
- 心配をやめようと思っても、自分では止められない
- いつも緊張していて、そわそわと落ち着かない
- 疲れやすい、肩や首がこる、体がこわばる
- 集中できない、頭が真っ白になることがある
- 心配ごとが浮かんで寝つけない、眠りが浅い
- イライラしやすくなった
当てはまる数で診断が決まるわけではありません。つらさが続いて、暮らしや仕事に差しさわりが出ているときは、早めにご相談ください。
全般不安症とは
全般不安症(全般性不安障害)は、特定の場面にかぎらず、日常のさまざまなことについて、過剰な心配や不安が長く続く病気です。心配の内容は、仕事や学業、家族の健康、お金、将来のことなど、ごくふつうの生活上のことが多く、ひとつの心配がおさまっても、すぐに次の心配がわいてくるのが特徴です。
国際的な診断基準では、こうした過剰な心配が、心配しない日よりも心配する日のほうが多い状態で、6か月以上続いていることが目安とされています。本人は「心配性な性格」と考えていることが多く、体の不調で内科を受診して初めて気づかれることもあります。
主な症状
こころの症状
- いろいろなことへの心配が止まらず、自分でコントロールできない
- 落ち着かない、緊張している、追い立てられるような感じがする
- 集中できない、頭が真っ白になる
- イライラしやすい
からだの症状
- 疲れやすい
- 肩・首・背中のこりなど、筋肉の緊張
- 寝つけない、眠りが浅い、眠っても疲れがとれない
- 頭痛、めまい、動悸、おなかの不調など
突然の強い発作が起こる「パニック症」とは違い、全般不安症では、不安が「ずっと続いている」形をとることが多いのが特徴です。
原因・なりやすさ
全般不安症は、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。
- 気質:もともと不安を感じやすい、慎重な気質が関係することがあります。
- ストレスや環境の変化:仕事や家庭での負担、生活の大きな変化が、きっかけや悪化の要因になることがあります。
- 心配についての考え方:「心配しておけば備えになる」「心配をやめたら悪いことが起こる」といった思いが、かえって心配を長引かせることがあります。
はっきりしたきっかけが思い当たらないまま、長い年月をかけて少しずつ強まっていくこともあります。
診断について
診断は、問診で心配の内容や続いている期間、体の症状、暮らしへの影響などを伺い、国際的な診断基準(DSM-5-TR など)に沿って判断します。
不安や体の症状は、ほかの病気でも起こります。甲状腺の病気などの体の病気、カフェインやお酒、服用中の薬の影響でも、動悸や落ち着かなさが出ることがあるため、必要に応じて血液検査や内科の受診をおすすめします。また、全般不安症はうつ病やほかの不安症と一緒に起こることも多いため、気分の落ち込みや眠りの状態もあわせて伺います。
治療について
全般不安症の治療は、精神療法と薬物療法を、症状の強さやご希望に合わせて組み合わせて進めます。
精神療法(認知行動療法など)
認知行動療法では、心配が大きくなっていく流れを一緒に整理し、「心配が当たる確率」や「起きたときにどう対処できるか」を見直したり、心配に振り回されない時間の過ごし方を練習したりします。体の緊張をほぐすリラクセーションの練習も役立ちます。
薬物療法
抗うつ薬の一部(SSRI・SNRI など)は、全般不安症の不安をやわらげる目的で使われます。効果が出るまでに数週間かかることが多く、続けて飲むことで少しずつ効果が出てきます。
抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)は、すぐに不安を軽くしますが、長く続けると依存(やめにくくなること)や眠気・ふらつき、もの忘れなどが問題になることがあります。使う場合は、短い期間にとどめ、慎重に用いるのが基本です。
生活の中でできること
- 規則正しい睡眠と、適度な運動を心がける
- カフェインやお酒をとりすぎない
- 心配ごとを紙に書き出し、「いま対処できること」と「いまはどうにもならないこと」に分けてみる
受診の目安
- 心配や落ち着かなさが何か月も続き、自分ではコントロールできない
- 心配のために眠れない、仕事や家事に集中できない
- 体の不調で検査を受けても異常がなく、不安が続いている
- 気分の落ち込みが重なってきた、お酒の量が増えた
「心配性だから」と長年がまんされている方も少なくありません。ずっと続く緊張は、それだけで心と体を疲れさせます。一度ご相談ください。
ご家族・周りの方へ
- 「気にしすぎ」「考えなければいい」と言わない:本人も、心配をやめたいのにやめられずに苦しんでいます。
- 安心させる言葉をくり返しすぎない:「大丈夫だよ」と何度も確認に応じることが、かえって心配を強めることもあります。治療で話し合った対処法を、一緒に見守ってください。
- 受診をすすめる:「眠れていないみたいだから相談してみよう」など、体の不調を入り口にすると話しやすいことがあります。
よくあるご質問
全般不安症では、心配がとても強く、自分ではコントロールできず、落ち着かなさや眠れない、体のこわばりなどが長く続いて、暮らしに差しさわりが出ています。性格か病気か迷うときも、ご相談いただければ一緒に整理します。
パニック症は、突然強い不安の発作(動悸・息苦しさなど)がくり返し起こるのが特徴です。全般不安症は、発作というよりも、さまざまなことへの心配や緊張がずっと続く形をとります。両方を持つ方もいます。
不安が強いと、肩こり・頭痛・動悸・おなかの不調など体の症状が目立つことがあります。体の病気が隠れていないかの確認も大切なので、必要に応じて内科の受診をおすすめしながら、こころの面からもご相談に応じます。
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は、長く続けると依存や眠気、ふらつきなどが問題になることがあるため、短い期間にとどめて慎重に使うのが基本です。すでに長く飲んでいる方も、自己判断で急にやめずにご相談ください。
経過は人によって異なり、長く続きやすい病気でもあります。症状が良くなってからも、再びぶり返さないよう、しばらく治療を続けることが多いです。治療の進め方は、診察で一緒に決めていきます。
考えないようにしようとするほど、かえってその考えが気になってしまうことはよく知られています。治療では、心配を無理に追い払うのではなく、心配に振り回されない付き合い方を一緒に身につけていきます。
適度な運動や、深呼吸・筋肉をゆるめるリラクセーションは、体の緊張をほぐし、不安への対処として役立つことがあります。治療と組み合わせて、無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。
あかつきメンタルクリニックでの診療
当院は、名古屋市中区丸の内(地下鉄「丸の内」駅から徒歩4分、「伏見」駅から徒歩7分)にある精神科・心療内科のクリニックです。診療時間は平日 10:00〜18:00、土日祝 9:00〜17:00(どちらもお昼休みあり)です。診療日は Web予約の空き状況でご確認ください。
- 初めての方は、Web予約・公式LINE・お電話(050-3529-9731)でご予約ください。
- 初診では、いまお困りのこと、これまでの経過、生活や体の状態などを伺い、今後の進め方を一緒に考えます。
- 16〜18歳の方は保護者の方の同伴をお願いしています。15歳以下の方の診療は行っていません。
- 入院や専門的な治療が望ましいと考えられる場合は、適した医療機関をご紹介します。
受診の前に、受診にあたって(持ち物・当院で診療をお受けできない場合)をご確認ください。
参考にした資料
- 米国精神医学会『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』
- 世界保健機関 ICD-11(国際疾病分類 第11版)
- 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(不安障害)
このページは、こころの病気についての一般的な情報です。診断や治療の方針は、診察でお話を伺ったうえで一人ひとりに合わせて決めます。気になる症状があるときは、自己判断せずにご相談ください。