不安・緊張・パニック

自律神経失調症といわれたら(検査で異常がない体の不調)

めまい、動悸、頭痛、だるさ、胃腸の不調——。体のつらさが続くのに、病院の検査では「異常なし」。そんなときに「自律神経失調症」といわれることがあります。実はこれは正式な病名ではなく、いくつかの状態をまとめた呼び方です。体の不調の背景に、ストレスや不安、うつ病などが関わっていないかを整理することが、つらさをやわらげる手がかりになります。

こんなサインはありませんか

  • めまい、ふらつき、動悸、息苦しさが続いている
  • 頭痛や肩こり、だるさ、疲れやすさがとれない
  • 胃の不快感、下痢や便秘などのおなかの不調が続く
  • 暑くないのに汗が出る、手足が冷える、ほてる
  • 内科などで検査を受けても、はっきりした異常が見つからない
  • 寝つけない、眠りが浅い、朝すっきり起きられない
  • 不調が気になって、気分が沈んだり不安になったりする

当てはまる数で診断が決まるわけではありません。つらさが続いて、暮らしや仕事に差しさわりが出ているときは、早めにご相談ください。

「自律神経失調症」とは

自律神経は、心臓の動き、呼吸、体温、消化など、自分の意思とは関係なく体の働きを調整している神経です。活動するときに働く「交感神経」と、休むときに働く「副交感神経」がバランスをとっています。

「自律神経失調症」は、このバランスが乱れて、さまざまな体の不調が出ている状態を指して使われる言葉です。ただし、国際的な診断基準(DSM-5-TR や ICD-11)にはない呼び方で、正式な病名ではありません。不調の背景には、いろいろな状態が含まれている可能性があります。

「異常はないので、自律神経のせいでしょう」といわれても、つらさがなくなるわけではありません。大切なのは、不調の背景を整理し、それに合った対処や治療につなげることです。

よくみられる症状

  • 全身:だるさ、疲れやすさ、微熱っぽさ、ほてり、冷え
  • 頭・耳:頭痛、頭重感、めまい、ふらつき、耳鳴り
  • 胸・呼吸:動悸、胸の圧迫感、息苦しさ
  • おなか:胃の不快感、吐き気、食欲の低下、下痢や便秘
  • 筋肉・関節:肩こり、首のこり、腰痛
  • その他:汗をかきやすい、手足のしびれ、寝つけない・眠りが浅い

症状が日によって変わる、いくつもの症状が同時に出る、ストレスや疲れで強まる、といった特徴がみられることがあります。

背景にありうる状態

「自律神経失調症」といわれる不調の背景には、次のような状態が隠れていることがあります。

  • 不安症:突然の動悸や息苦しさがくり返される「パニック症」、さまざまな心配が続く「全般不安症」など。不安が強いと、体の症状が目立ちやすくなります。
  • うつ病:気分の落ち込みよりも先に、だるさ・頭痛・食欲の低下・眠れないといった体の症状が目立つことがあります。
  • 身体症状症:体の症状そのものへの心配や、症状にかける時間・気持ちが大きくなり、暮らしに影響が出ている状態です。
  • 適応障害:仕事や家庭などのストレスをきっかけに、心と体の不調が出ている状態です。
  • 睡眠の問題:睡眠不足や不規則な生活リズムが、体の不調を強めていることがあります。

どれに当てはまるのか、またはどれにも当てはまらないのかを、お話を伺いながら整理していきます。

内科との役割分担

体の症状がある場合、まず大切なのは、体の病気が隠れていないかを確かめることです。甲状腺の病気、貧血、心臓や耳の病気、更年期にともなう変化など、体の病気でも似た症状が出ることがあります。

  • 内科など体の診療科:症状に合わせた検査で、体の病気がないかを確かめます。
  • 精神科・心療内科:検査で異常が見つからない、または体の治療をしても不調が続くときに、ストレスや不安、気分、睡眠などの面から原因を整理し、治療します。

まだ検査を受けていない方には、必要に応じて内科などの受診をおすすめします。検査の結果をお持ちの方は、診察のときにお持ちいただくと参考になります。体と心の両方から見ていくことが大切です。

治療について

治療は、背景にある状態に合わせて進めます。

生活リズムとストレスの見直し

睡眠・食事・運動などの生活リズムを整えることは、自律神経のバランスを保つ土台になります。仕事や家庭での負担が大きい場合は、負担を減らす工夫や環境の調整も一緒に考えます。

精神療法

症状が出る流れや、ストレスとの付き合い方を一緒に見直します。不安が強い場合は、体の感覚に注意が向きすぎて症状が強まる悪循環をゆるめる、認知行動療法の考え方が役立つことがあります。

薬物療法

不安症やうつ病が背景にある場合は、抗うつ薬(SSRI など)などを使うことがあります。抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)は、すぐに不安を軽くしますが、長く続けると依存(やめにくくなること)が問題になることがあるため、使う場合は短い期間にとどめて慎重に用います。症状をやわらげる漢方薬などを検討することもあります。

日常でできること

  • 起きる時間をそろえ、朝に日光を浴びる
  • 散歩などの軽い運動を習慣にする
  • カフェインやお酒、寝る前のスマートフォンを控えめにする
  • 深呼吸やストレッチなど、体の緊張をほぐす時間をつくる
  • がんばりすぎていないか、休めているかをふり返る

セルフケアで良くならないときや、不調で仕事や家事に差しさわりが出ているときは、ひとりで抱えずにご相談ください。

よくあるご質問

自律神経のバランスが乱れて体の不調が出ている状態を指して使われる言葉ですが、国際的な診断基準にはない呼び方です。背景に不安症やうつ病などが隠れていることもあるため、それを整理することが大切です。

体の症状がある場合は、まず内科などで体の病気がないかを確かめることをおすすめします。検査で異常がない、または体の治療をしても不調が続くときは、心療内科・精神科でご相談ください。すでに検査を受けている方は、結果をお持ちいただくと参考になります。

いいえ。検査で異常が見つからなくても、症状は実際に起きているつらさです。ストレスや不安、睡眠などが体の働きに影響することはよく知られています。その仕組みを一緒に整理していきます。

お話を伺って不調の背景を整理し、生活リズムの見直し、ストレスへの対処、精神療法、必要に応じた薬物療法などを組み合わせて進めます。治療の進め方は、ご希望も伺いながら一緒に決めます。

更年期にも、ほてり・発汗・動悸・気分の変化など、似た症状が出ることがあります。年齢や月経の状況によっては、婦人科の受診をおすすめすることもあります。体と心の両方から見ていくことが大切です。

必要な検査がすでに済んでいる場合は、検査をくり返すよりも、不調が続く背景を整理することが役立つことがあります。新しい症状が出た、症状の性質が変わったといったときは、あらためて体の検査が必要になることもあるため、診察でご相談ください。

不調の強さや仕事の内容によって異なります。負担を減らしながら働き続ける方法もあれば、しっかり休んだほうが回復しやすい場合もあります。必要に応じて、休職のための診断書の作成についてもご相談いただけます。

あかつきメンタルクリニックでの診療

当院は、名古屋市中区丸の内(地下鉄「丸の内」駅から徒歩4分、「伏見」駅から徒歩7分)にある精神科・心療内科のクリニックです。診療時間は平日 10:00〜18:00、土日祝 9:00〜17:00(どちらもお昼休みあり)です。診療日は Web予約の空き状況でご確認ください。

  • 初めての方は、Web予約・公式LINE・お電話(050-3529-9731)でご予約ください。
  • 初診では、いまお困りのこと、これまでの経過、生活や体の状態などを伺い、今後の進め方を一緒に考えます。
  • 16〜18歳の方は保護者の方の同伴をお願いしています。15歳以下の方の診療は行っていません。
  • 入院や専門的な治療が望ましいと考えられる場合は、適した医療機関をご紹介します。

受診の前に、受診にあたって(持ち物・当院で診療をお受けできない場合)をご確認ください。

Web予約 公式LINEのご案内 お電話 050-3529-9731

参考にした資料

  • 米国精神医学会『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』
  • 世界保健機関 ICD-11(国際疾病分類 第11版)
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット(こころの健康)
  • 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

このページは、こころの病気についての一般的な情報です。診断や治療の方針は、診察でお話を伺ったうえで一人ひとりに合わせて決めます。気になる症状があるときは、自己判断せずにご相談ください。

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